矯正治療

矯正治療について

矯正治療は見た目の歯並びの改善だけではなく、歯並びの悪さから起こるむし歯や歯周病を予防することと、無理な治療法をできるだけ避けることを目的に、子どもだけでなく、大人の患者さまにみ積極的に歯科治療の一つとして導入しております。

矯正治療の必要性

最近の学校歯科検診では、以前のように虫歯をチェックするだけではありません。歯周疾患や、歯並び、咬み合わせについても、詳しく保護者に知らせるようになりました。それだけ、歯並びの大切さが、深く認識されるようになってきたのです。

歯並びが悪ければ、咬み合わせも悪いので、全身の健康に大きな影響を与えます。それは肉体的な ものばかりでなく、精神的にも大きな負担となります。豊かな顔の表情を大切にする欧米では、健康的で整った、美しい歯並びが常識となっています。一昔前の 日本では、八重歯をチャームポイントとする方を多く見かけましたが、最近では歯並びに対する日本人の考え方も、審美から健康の獲得へと変化してきていま す。

歯並びを治す矯正治療は、病気を治すのと同じように、歯の正常な咀嚼機能を取り戻し、健康な身体と心をつくるための歯科治療なのです。そして、治療がすめば、健全な咀嚼器官と共に、健康美あふれる笑顔も手に入れることができます。

不正咬合による心身への影響

悪い歯ならびを総称して、不正咬合といい、良い歯ならびで良い咬み合わせを正常咬合といいます。

  • 食べ物が歯の間にはさまり、歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病になりやすい。
  • 食べ物をよくかみ砕けず、胃腸などの消化器に負担がかかる。
  • 上下のあごの発育や、顔の成長に影響を与えて、不調和をもたらす。
  • 上あごと下あごをつなぐ顎関節に負担がかかり、顎関節症になりやすい。
  • 咀嚼筋の発達に影響を与え、筋力のバランスが崩れて姿勢も悪くなる。
  • 構音機構に影響して、正しい発音がしにくくなる。
  • 視力低下の原因になるといわれ、学力や運動能力の低下を招きやすい。

正常な咬み合わせになれば、多くの問題が解決します。上下の歯が正しく咬みあい、歯の接触面積が広くなり、咀嚼効率が向上し、食べ物の吸収が促進され、心身ともに健康な発育を示します。
また、健全な咀嚼運動は、脳神経の血流を促進し、老化防止にもつながります。

 

矯正治療の流れ

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お口の状態によりますが、清掃状況の悪い場合は、お口の清掃をある程度行いつつ、通常の治療を並行していきます。
さわる歯の状態や数の多さによりますが、全体的な治療方針は、ある程度の改善をみてからになる場合もあります。

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順番に、治療の必要な歯の治療、お口の清掃と歯ぐきの治療を並行して、専門医による治療を行います。

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 矯正治療は、動的治療と静的治療(保定)の2段階に分かれます

  1. 治療計画に従い、いろいろな矯正装置を使って歯を動かし、段階的に治療を進めます。
  2. 上下の歯が計画通りに動いて、次第に正常な咬み合わせになると、最終段階での仕上げの治療を行います。
  3. 動的治療が完了すると、矯正装置をはずし、静的治療(保定)に入ります。
  4. 動かした歯を支えて保護するために、保定装置を使います。その期間は2、3年ですが、場合によっては成長が終了するまで必要となることもあります。
  5. 動かされたはが完全に保定されると、静的治療も終わります。その後は定期健診として、年に1、2回の通院が必要となります。

矯正治療のQ&A

Q1 治療を開始するのに適した年齢はいくつぐらいですか?

A1 治療開始に最も適した年齢は、症例によって異なります。目安として、
・ 下顎前突 (下の歯が上の歯より前に出ている噛み合わせのこと)では上の前歯の生え変わる6~7歳くらい、
・ 上顎前突(上の歯が前に出ている噛み合わせのこと)叢生-(そうせい:歯が重なり合って生えている状態)では小臼歯の生え変わる9~10歳くらい、
があごの成長を有利に利用できるため適していますが、年齢の上限はありません。60歳くらいになって矯正治療を始められる方もいらっしゃいます。矯正治療には、年齢よりも、むしろ歯周病などになっていない、健康な歯周組織であることが重要です。
歯の動き方は、代謝がいいので、お子さんのほうが早く動くことが多いのですが、年齢による極端な差はありません。

Q2 矯正治療にはどんな装置を使用するのですか?
A2 矯正治療には、取り外しのできる装置や、つけたままの装置など、さまざまな装置があります。これらの装置を一人一人の患者さまの状態や希望に合わせて選択し、使用していきます。
取り外しのできる装置は、あまり目立たずに矯正治療ができたり、歯みがきがしやすかったりしますが、使用時間によっては歯が動きにくかったり、細かい調整が難しかったりする場合があります。
逆に、つけたままの装置は歯の動きが早く、正確に調整が可能ですが、歯みがきに少し慣れが必要です。
装置には、銀色のタイプと透明のタイプがあります。

Q3 矯正治療中の歯みがきは、どうすれば良いですか?
A3 せっかく歯並びがきれいになっても、虫歯だらけになてしまっては意味がありません。矯正治療中、特にブラケットがついているときは、しっかりと歯みがきができることが必要になります。
装置の使用を始めるときには必ず歯みがきの指導を行い、治療中も常にチェックをしていきます。治療中に身につけた歯みがきは、一生役立ちますので、
一緒にがんばっていきましょう。

Q4 痛みはありませんか?
A4 近年の、治療に使用する材料の進歩によって、矯正治療に伴う痛みはかなり軽減されてきています。
当院でも最新の形状記憶のワイヤーなどを用いて、痛みが少なくなるよう努力をしております。
痛みに対する感覚は個人差があるのですが、装置をつけて数時間後から2~3日間、歯が押さえられるような感じや、歯が浮いたような感じがすることがあります。

Q5 医療費控除はうけられますか?
A5 1年間の医療費が10万円を超えると、医療費控除が認められます。成人の場合、歯科医師の診断書が必要なことがあります。